©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド
"コカ·コーラ"鈴鹿8耐の歴史のなかで、多くの人々の記憶のなかに残るマシンたちを紹介する連載です。今回は1993年大会に登場した、空冷ネイキッドをベースにした異色のマシンです!

750ccTT-F1最終年に現れた、ネイキッド8耐レーサー!

1993年は、各メーカーが多大な開発費を投じて作ったTT-F1による、最後の8耐の年でした。スーパーバイク・ホモロゲーション・モデルに、さらに手を加えたレーシングマシンが並ぶ中、ゼッケン16のマシンはその異彩をパドックに放っていました。

それは、1989年のゼファー(400cc)の登場により国内で巻き起こった「ネイキッド・ブーム」によって1991年に生まれたゼファー750をベースにした8耐レーサーでした。マシンを製作したのは、大阪の著名プライベーターの月木レーシング。K'Sガレージ&月木Rからのエントリーで、スコット・ザンパック/マイク・ヘイル組の手に託されました。

決勝を走るカワサキゼファー750。クリップオンハンドルのスーパーバイク・ホモロゲーションモデルばかりのなかで、アップハンドルの姿は非常に目立っていました。 ©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド

空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブをスチールフレームに搭載するネイキッドモデル・・・という、およそ当時の鈴鹿8耐向きではないモデルをあえて選んだ理由を、月木レーシングはこう語っています。

「スーパーバイクは,今では形ばかりのストリートリーガルな4ストロークGPバイクになってしまった。エディー・ローソンがカワサキKZ1000でUSスーパーバイクのタイトルを獲った頃のバイクは,走るのを見ていても,もっとずっと劇的でおもしろかったと思う。私たちはゼファーベースのレーサーでその精神を再現して,鈴鹿8耐という最もレベルの高い場で戦おうと思った。」

その予選タイムは2分28秒と、2分12秒台でポールポジションを獲得したミック・ドゥーハン/ダリル・ビーティー組のホンダRVF750にはるかに及ばないものでしたが、予選ファイナルチャレンジの雨が幸いし、60台の最後尾で決勝進むことに成功しました。

決勝レースは残念ながら、完走を間近にした7時間過ぎにザンパックが転倒。154周でリタイアに終わってしまいました。一般にすべてのロードレースは、勝利を目的に参加するものですが、それだけがロードレースのすべてではないことを、月木レーシングのゼファー750は私たちに再認識させてくれた・・・と言ってもいいでしょう。