"コカ·コーラ"鈴鹿8耐の歴史のなかで、多くの人々の記憶のなかに残るマシンたちを紹介する連載。今回は2002年に新設された、JSB1000クラス優勝したホンダCBR954RRです。

JSB1000クラスの新設

2000年代に入り、主催者はよりローコストで鈴鹿8耐にエントリーできる環境を用意することを意図し、2001年からSP(スポーツプロダクション)とST(ストックスポーツ)クラスを新設しました。そして2002年にはさらに、JSB(ジャパンスーパーバイク)1000とPT(プロトタイプ)クラスも追加されました。

現在の鈴鹿8耐の参戦モデルは1,000ccスーパーバイクが主体となっていますが、当時はまだ750cc4気筒と1,000cc2気筒のホモロゲーションモデルを使ったスーパーバイクを投入することが、ワークスの選択肢でした。

ただ、当時の世の中のマーケットを俯瞰してみると、ホンダCBR954RR、スズキGSX-R1000、ヤマハYZF-R1、カワサキZX-9Rなど、従来のナナハン・スポーツよりも大パワーで、運動性に優れるモデルが各社のフラッグシップスポーツとして君臨している状況でした。

当然世界中のユーザーの興味も、もっぱら1,000ccモデルのほうに向けられていたのは言うまでもありません。これら人気のあるクラスを取り込むことは、鈴鹿8耐に限らず世界中のプロダクション・ベースのレース業界の課題だった、と言えるのかもしれません。

マイスター60&チームヨシハルから出場したホンダCBR954RR。ライダーは須貝義行/川上智彦。©オートバイ/モーターマガジン社

新設されたJSB1000クラスで、決勝に進出したのは7チーム。予選のJSB1000勢のトップは名門プライベーターのF.C.C. TSRのホンダCBR954RRでしたが、決勝ではトラブルで後退。総合15位で207周を走りきったマイスター60&チームヨシハルのCBR954RRが、8耐初のJSB1000を優勝しました。

1992年の初代CBR900RR(SC28)が生み出した、運動性能に優れる大排気量スポーツ・・・というトレンドは、周知のとおり2000年代からはプロダクション・レースの最高峰になっていきました。そして2002年のCBR954RR(SC50)を最後に900系は終了し。2004年からはCBR1000RRがその後継としてデビューしています。