モノショック全盛期に、リア2本サスを採用!
1987年、第10回大会となった鈴鹿8耐に、モリワキはこの年からの全日本TT-F1用主戦マシンとして投入したホンダCBR750の水冷並列4気筒エンジンを搭載するZero-Z750を持ち込みました。
それまでのZero-X7に採用されていた、ホンダCBX750F用空冷4気筒に代わる水冷ユニットで安定性が向上。車体はモリワキでおなじみのオリジナル・アルミフレームですが、Zero-Z750では1985年の全日本250ccクラス用に初めて使われた「Zフレーム」をTT-F1としては初採用しています。
この時代のモリワキの特徴としてユニークなのは、リアサスペンションに2本ショックを採用することです。モトクロスから普及したリンク式モノショックが、ロードレースの世界でも普及して久しい1980年代半ばに、あえてモリワキは2本ショックの可能性を追求したわけです。
1年限りで退役したZero-Z750
この年、モリワキZero-Z750は全日本では2度5位入賞しましたが、1年限りで後継のZero-ZX7に代替わりすることになりました。なお、特徴的な2本ショックはZero-ZX7にも継承されています。
なお余談ですが、1980年代半ば以降ですと2本ショックを採用したロードレーサーでメジャータイトルを獲得した成功作は、1994年に英国スーパーバイク選手権(BSB)のチャンピオンになったイアン・シンプソンのノートン・ロータリー・レーサー、RCW588くらいしかありませんね。確かヤマハも2003年に、MotoGPマシンのYZR-M1に2本サス仕様を試作してましたが・・・。
今でもロードレースの世界ではリンク式モノショックが「常識」になってますが、こういう面白いチャレンジはワクワクしますね。いつの日にか、新たな足まわりへのトライを、鈴鹿8耐でも見てみたいです! そのためには、現状のレギュレーションではそういう市販スポーツの登場が大前提となりますが・・・。