1994年以降、鈴鹿8耐はスーパーバイクのルールに準じて行われています。この連載は1998年に成立したSBK(世界スーパーバイク選手権)のタイトル保持者で、鈴鹿8耐を制覇したグレートライダーを紹介していきます。今回はMotoGPでも活躍したスペインの名手、C.チェカです!

大排気量クラスで活躍!

1972年にスペイン・バルセロナで生まれたチェカは、1993年にGPデビュー。しかし125cc、250ccクラス時代は際立った成績をおさめたライダーではありませんでした。彼の適正が発揮されたのは、500ccクラスにステップアップしてから・・・と言えるでしょう。

1995年フォルツゥナ・ホンダ・ポンスで250ccを走っていたチェカは、シーズン途中でアルベルト・プーチに代わりホンダNSR500に乗ることになります。翌1996年からは500ccフル参戦を開始。GP初勝利をカタロニアで記録。そして1998年にはGP2勝目をマドリッドでゲットしました。

2004年、フランスGPでヤマハYZR-M1(0WP3)を駆るC.チェカ。シーズンベストとなる2位表彰台を獲得しました。

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1999年からヤマハに移籍したチェカは、GP最高峰がMotoGPになった2002年以降も活躍。ヤマハのほかホンダ、ドゥカティのMotoGPマシンにも乗りましたが、2007年を最後にGPフル参戦を終えることになりました。

ドゥカティでSBK王者に輝く!

2008〜2009年、チェカはテン・ケート・ホンダでSBKにフル参戦しますが、ホンダCBR1000RR時代に得た勝ち星は2勝にとどまりました。SBKにてチェカの実力が発揮されたのは、2010年からのドゥカティ時代でした。同年はドゥカティ1098Rで3勝をあげランキング3位を獲得。翌2011年は15勝という優れた成績で見事チャンピオンを獲得しました!

鈴鹿8耐では、名勝負の主役になります!

清成龍一と組んで、2008年(第31回大会)FIM 世界耐久選手権シリーズ第3戦 "コカ·コーラ ゼロ"鈴鹿8時間耐久ロードレースに勝利した、C.チェカ(ホンダCBR1000RRW)。 ©︎モビリティランド/鈴鹿サーキット

2007年、岡田忠之と組んでHRCから鈴鹿8耐に参戦したチェカは2位表彰台を獲得します。そして翌2008年、ドリーム・ホンダ・レーシングチームから清成龍一とともに参戦したチェカは、見事な状況判断で鈴鹿8耐ウィナーの栄誉を手にしました。

この年の8耐は、レース途中から落雷と共に雨が落ちてくるというハプニングに見舞われますが、そのときにチェカは的確にコース状況を把握し、レースの流れを自軍に導くことに成功します。

(2回目の走行時に)雨が降ってきた瞬間、信じられないと思った。けれど、空は青空。路面は乾いている部分もあって、慎重に走れば、そのままコースにとどまるほうがピットインするよりもロスが少ない。そう思ってそのまま走った。今思えば、レースの最も重要なポイントで、正しいジャッジができたのではないかと思う。雨が降ったり、ペナルティを受けたり、レース中は何が起きるかわからない。でも清成が頑張ってギャップを作ってくれて、いいレースができた。

レインタイヤを選択するかどうかで全チームが混乱する中、冷静な判断をしたチェカはそのまま走り続けることを選択。もちろん、濡れた路面でいいペースをスリックタイヤでキープできたのは、彼の技術の素晴らしさゆえに他なりません。

チェカの鈴鹿8耐キャリアは少ないですが、2008年に彼が魅せたクレバーな走りは、今でも多くの鈴鹿8耐ファンの語り草になっています。