BMWのスポーツイメージを向上させたモデル
1998年にデビューしたBMW R1100Sは、1970年代に登場しAMAスーパーバイクやマン島プロダクションTTで活躍したスポーツモデル、R90S以来の「S」(スポルト)の名を継承したマシンでした。デザインを担当したのは、当時カーデザインの世界でその名を馳せたデビッド・ロブで、ツーリングに使える実用性と、サーキット走行も楽しめるスポーツ性を両立したR1100Sは、多くの新しい層のBMWファンを獲得しました。
欧州で行われていたBMWフラットツインのワンメイク「ボクサーカップ」は日本でも開催され、そこでもR1100Sは活躍します。そしてBMWのスポーツ性に魅せられたエンスージャストたちは、なんとR1100Sでの鈴鹿8耐参戦を2002年からスタートさせました!
ジャーナリストの山田純を監督に、ライダーを新垣敏之/戸田隆を起用したボクサースポーツクラブは、主催者推薦枠の最後尾からのスタートながらしっかり8時間を完走。総合35位(Xフォーミュラクラス17位)という成績は、外国車の最上位でもありました。なお2003年は戸田/黒川武彦組が51位、2005年は黒川/斎藤栄治組が出場しますが規定周回不足(152周)に終わりました。
これらBMWにつけられた車番の「135」は、2006年のTras & PIAAレーシングに引き継がれ、BMW K1200Rに付けられました。そして2010年にはTras & G-TRIBE+8810RのBMW S1000RRに継承され、鈴鹿8耐におけるBMWの伝統のナンバーになっています。
SBK(世界スーパーバイク選手権)やJSB1000、そしてマン島TTなどで活躍する並列4気筒のスーパースポーツ、S1000RRの代になってからはTeam TrasのBMWは鈴鹿8耐で活躍が目立つようになり、昨2016年は総合16位を獲得。今年2017年の参戦権もしっかりゲットしています。
今ではロードレース業界におけるBMWの実力の高さは、多くのファンの知るところになって久しい観がありますが、その先鞭をつけたモデルとしてS1100Sの果たした役割は大きいでしょう。