©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド
"コカ·コーラ"鈴鹿8耐の歴史のなかで、多くの人々の記憶のなかに残るマシンたちを紹介する連載です。今回は2003年大会で、首位争いのドラマを演じたケンツのスズキGSX-R1000です。

レースをリードしつつも、悲劇的な結末が・・・

2003年の鈴鹿8耐は、それまでのファクトリーが送り出すSB=スーパーバイククラスのマシンが、そのほかのクラスを圧倒する速さをみせる・・・という様相に変化がもたらされた大会でした。

予選では辻村猛/伊藤真一組のF.C.C.TSRのホンダCBR954RR(Xフォーミュラ)がポールポジションを獲得。2、3位はJSB1000クラスの、ヨシムラとケンツがそれぞれ持ち込んだスズキGSX-R1000が入り、SBは4位のセブンスターホンダのVTR1000SPWが予選の最上位でした。

迎えた決勝では、なんとわずか2周目の第1コーナーでオイルによる多重クラッシュが発生。これに巻き込まれたセブンスターホンダやヨシムラなどの優勝候補が、早くも姿を消すことになってしまいました。再スタート後のレースをリードしたのは、ケンツの北川圭一/藤原克昭組。一時は2位を走る桜井ホンダのVTR1000SPWに、1分以上の差をつける快走ぶりを見せつけました。

画像: スタートで好スタートを切ったケンツのスズキGSX-R1000(ゼッケン8) ©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド

スタートで好スタートを切ったケンツのスズキGSX-R1000(ゼッケン8) ©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド

画像: ファクトリーライダーとしての経験も豊富な北川圭一と藤原克昭が、最終ピットインのタイミングまでレースを支配しましたが・・・。 ©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド

ファクトリーライダーとしての経験も豊富な北川圭一と藤原克昭が、最終ピットインのタイミングまでレースを支配しましたが・・・。 ©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド

途中ピットストップでの作業時の違反で、ケンツのGSX-R1000は20秒のピットストップというペナルティーを課せられることになりました。その影響で2位に30秒まで差を縮められましたが、ペースを上げることでコース復帰後はリードを広げることに成功します。

チェッカーを受けるまでの最終スティントを担当する、藤原にライダー交代する最後のピットインで「悲劇」は待っていました・・・。タイヤを交換し、給油を終え、再びコースに向けて走り出そうとしますが・・・なんとエンジンが始動しないという致命的なトラブルが発生してしまったのです!

メカニックたちの懸命の作業の末にトラブルの原因を究明し、再びスズキGSX-R1000のエンジンに火が入ったのは、レース終了1分前の19時29分でした・・・。ホンダ車の鈴鹿8耐7連覇をケンツが阻止することを誰もが信じて疑わないレース終盤の状況でしたが、最終的にケンツのGSX-R1000は首位から40位まで沈んでいってしまったのです・・・。

2003年のケンツの悲劇は、不測の事態という「魔物」が潜むのが鈴鹿8耐・・・ということを、多くの人に再認識させた大会と言えるのかもしれません。

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