ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの同一チーム5連覇は幻に・・・
7月28日の決勝終了直後は、暫定で優勝となっていたヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームは、その後に抗議により暫定2位になりました。そして他のチームがこの覆った暫定順位に抗議をすることはなかったので、そのまま29日の再車検を終えて正式にKRTの優勝が決まったわけです。
最初にヤマハが優勝と判断されたのは、世界選手権を統括するFIMが当初、SBK(世界スーパーバイク選手権)のように、レース終了後にKRTがフィニッシュラインを5分以内に通過できなかったためでした。しかしKRTの抗議を受けて赤旗の中断のときのルールの適用を精査し、その結果それまでの暫定結果が覆り、KRTが優勝!! ということになりました。
※レース結果について、詳しくは下記のリンクをご参照ください。
なお、逆転でのシリーズ優勝が視野にあったSERT=スズキ・エンデュランス・レーシング・チームは、8時間直前にエンジンブローでリタイアし、チームSRCカワサキ フランスが大逆転でFIM EWCタイトルを獲得しました! カワサキにとっては、26年ぶり鈴鹿8耐優勝と年間王者をダブルで獲得でき、最高の結果に終わりました。
来年度も高度なバトルを・・・! そしてスッキリした結末を望みたいですね!
今年の最大の焦点となった、ヤマハ、カワサキ、ホンダの3大ワークスの戦いですが、期待を裏切らない接戦が最後まで続き、鈴鹿サーキットに集ったファン、そして世界中のTVなどの視聴者を大興奮させてくれました!
過去2年と同じ顔ぶれの3名を1スティントごとに交代する"王道"でヤマハは王座防衛を目指しましたが、KRTは鈴鹿8耐の経験に乏しいT.ラズガットリオグルを外し、またレッドブルホンダは体調不良の清成龍一を外し、両チャレンジャーともに2人で戦うことを決勝開始前に決めていました。
ここ数年の鈴鹿8耐は、体力温存などの理由から有力チームは3人で戦うことが定着していましたが、KRTとレッドブルホンダは「チーム内で最も安定して速く走れるライダーを、可能な限り長時間走らせる」という、スプリント耐久と称される鈴鹿8耐ならではの、昔からの戦い方のセオリーのひとつを選択したような戦い方を、結果的に両チームはしたわけです。
レッドブルホンダは、最後の最後でエース高橋巧にすべてを委ねる作戦に出ましたが・・・KRTは最終スティント、1スティント毎の交代をしてきたエースのジョナサン・レイが担当。そして終盤に驚速ラップタイムを何度も記録して、見事レッドブルホンダを抜き首位に浮上! 怪我を抱えたレオン・ハスラムも粘りの走りを魅せましたが、今回の優勝はSBK絶対王者に君臨する、レイの速さこそがたぐり寄せたものと言えるでしょう!
ただ・・・8時間をきっちりチェッカーフラッグで終わらせることができなかったこと、そして赤旗にまつわる暫定結果による混乱など、モヤモヤした終わり方でこの素晴らしい戦いが終幕になってしまったのは、じつに残念でした。来年もこの3チームが揃って鈴鹿8耐に参戦し、今年を上回る激しい戦いを披露し、最後はスッキリチェッカーで終えることを願ってやみません!